近視は、「無調整の状態で眼に入る平行光線が網膜の手前で結像する眼の屈折状態」と定義され、裸眼の状態で近くは見えますが、遠くは焦点が合わないのでぼやけてしまいます。近視は遺伝と環境により主として眼の長さ(眼軸長)が長くなり発症すると考えられております(図1)が、詳細な原因については未だ不明です。また安全かつ臨床的に有効な近視予防法は確立しておらず、近視人口は世界的に増加の一途をたどり、現在では世界の約3分の1の人口である25億人といわれ1、歯止めがかけられない状況にあります。
● 図1:近視と眼軸長(文献2より引用)
近視は、主として眼の長さ(眼軸長)が伸びて発症すると考えられている。
近視の度数は無調節で遠方視をするのに必要な矯正レンズ度数(ジオプター[D]:レンズの屈折力を表す単位)で表されます。
※ ジオプター[D] は焦点距離の逆数
ジオプター[D] | 焦点距離 |
---|---|
-1D | 1 m |
-2D | 50 cm |
-3D | 33 cm |
近視は裸眼の状態では遠くが見えないために不便であることに加えて、近視の程度が非常に強くなる強度近視という状態のうち、一部は失明に至る可能性があるため、近視研究会では強度近視による失明の撲滅を目標に掲げています。